2009-03-11

「未来」に向かってもがく「今」が「過去」になる


「過去」になってしまったことは きれいに見える

ずっと向こうに行ってしまった時間は 楽しそうに見える

どんなに苦しくて 泣いていた日々も
どんなに喘いで お先真っ暗だった日々も
「今」よりも ずっとよかった日々だったかのように
セピア色に輝いて 波のようによせる

そんな嘘に騙されている自分が おかしい
そんな幻想に浸っている自分が あほらしい
こんなに心が痛いなんて あの頃は感じなかったとか
こんなに翻弄されて行き場がないなんて あの頃は思わなかったとか
あの頃の苦しみは 実は「今」以上だったかもしれないくせに
喉元を過ぎた痛みを 忘れかけている自分がいる

いつだって 「過去」は 美しく 静かに凪いで
自分が乗り越えてきた汗と涙なんて どこかにかすんで
あんなのへのかっぱだったみたいに
ひょい と飛び越えてきたみたいに
死にそうになってのたうちまわっていたことを忘れ
いつでも 最悪の時は 「今」目の前に存在する

「今」が去って「過去」になる
「今」が知らないうちに「過去」になる

「今」の 半分くじけかけている自分と対面し 
いたたまれなくなって「過去」をふりかえる
その「過去」には もう半分くじけかけた自分はいなくて
半分くじけかけている自分は いつも「今」ここにいる

乗り越えた自分は 「いつか」のヒーロー
「今」は戦うことさえできない泣き虫のあかんたれ
だけどまた 「いつか」のヒーローに戻れるかもしれない
まあちょっとした苦労だったけどね とカッコよくいえるかもしれない

「今」が「過去」になったとき 
この苦しみを  どんなふうに 思うのか
あんな時代もあったさと ひとまわり大きくなって
ははんと笑って懐かしむ 「いつか」がくるのかだろうか

「今」はいつもここにあって 先端をいく
これが「過去」になることも知らずに
見えない「未来」に向かって
「今」初めて見る刃(やいば)と戦い もがき続ける自分がいる

何も知らない「未来」の自分が 
きっとどこかで 「今」の自分を見る
「過去」になった「今」を見る
「今」は見れない「未来」の自分

それは どんな色をしているのだろうか
遠くに浮かぶ まだ届かないそこにいる自分に 
「今」すぐ会って 
ああ 大丈夫だよ
なにも心配することはないんだよと
優しく包まれて 言われたい






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