何もかも置いてきてしまったような気がして
大事なものを全部置いてきてしまったような気がして
私は こんな遠くで 空っぽになって佇んでいる
娘の声も 母の声も 届かないくらい地球の果てで
ぎこちないうそ笑いを浮かべて
いったい何を楽しい振りしているんだろう
どこまで自分を騙せば気がすむんだろう
風が通り過ぎるように 私もこの世を通り過ぎる。誰かに出会い、何かをシェアして、泣いたり笑ったり怒ったりしながら、流れる時にさえ気が付かない。そして時々フッとわれに返り、ひとり空を見上げ、自分の来た道がすべてこの空の下にあったことを思う。どこにいても、私は私だった。この先、どこをどう通ってどこに行くのだろう。流れる風に身を任せ、髪をたなびかせ、目を瞑る。耳を澄ませると、感じるように聞こえてくる魂の叫び。ああ、私が風になっていく・・・。